Ge/Si APD I-V Curves
 


開発したプログラムを用いて、図1の構造に対して逆バイアス特性を計算した。暗電流(Dark Current)特性は光を照射しない特性、光照射によってキャリアが以下の式で生成されたとして光電流(Photocurrent)特性を計算したものを図3に併記する。
G=αc fp exp(-αc(z-zint))
ここで、図2で光照射のGe端面をz=0として、右から左方向にz軸を定義した。zintは光照射によってキャリアが生じる位置で、zint=0(図2で右端)、αcは吸収係数で、1310nmの波長に対して7060 cm-1, fpは入力フォトンフラックスであり、1015 cm-2 sec-1と仮定した。


図3.Intel が報告している構造でのGe/Si APDの逆バイアス特性

Nature Photonicsの論文では3V付近で、Dark CurrentとPhotocurrent特性が別れ、26V付近では、急激な電流増加が生じている。それに対して、図3は8V付近から別れ、インパクトイオン化は効いてはいるが、26V付近での電流急増は生じていない。Siの増倍領域の濃度が基板からのオートドーピングで論文値よりも濃いと仮定した構造では、図4の特性となり、より論文報告に近づく。その他、結晶の品質に関係するキャリア寿命などの変化に対しても面白い結果が得られる。

図4.Siの増倍領域にオートドーピングを仮定した際の逆バイアス特性