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近年、アレイ導波路グレーティング(Array Waveguide Gratings:AWG)は、WDMアプリケーションにおける波長(分)合波器として、ますます普及している。比較的低損失である多数のチャネルを、正確に分波できることが証明された。従って、AWGは、密集したWDM ネットワークシステムにおいて、主要な役割を果たしている。 AWG マルチプレクサ/ディマルチプレクサの主な特長は、ファイバ間の低損失,狭くかつ正確なチャネル間隔,多数のチャネル,偏波に対する低感度,高い安定性と信頼性,および量産への適合性である。標準化された光リソグラフィー技術によって作製するので、AWGおよびグレーティングエッチング技術の統合は、小型,信頼性,大きな作製許容誤差(深い垂直エッチングではない),および著しく削減された作製コストとパッケージコストのように、多くの利点をもたらす。また、AWG 本来の利点は、正確に制御されたチャネル間隔(ITU格子に至るまで容易に),簡単かつ正確な波長安定性,および均一な挿入損失もある。 従って、AWG は、光WDM通信の光集積回路(PIC)において、主要な光素子である。AWGは、低挿入損失,大きな光バンド幅と出力数,小型(小さいデバイス寸法),偏波独立,低クロス−トーク(cross-talk),および優れた作製許容誤差のように、他に類を見ない特性を有する。結果として、AWGは、波長マルチプレクサ/ディマルチプレクサ、アッド−ドロップマルチプレクサ,カップラ,分配器/スプリッタ,結合器,スイッチ,フィルタ,サンプラ/モニタ,およびイコライザのように、多くの可能性あるアプリケーションを有する。また、発光素子,受光素子,変調器,増幅器,およびWDM回路のように、より複雑なPICにおいて、容易に作製することもできる。 注意:AWG デバイスのシミュレーションについて、デバイス内に2つのカップラ領域が存在する。領域長はカップラ長とシミュレーション領域(F1,F2,F3およびF4)によって定義される。シミュレーション設定ダイアログボックスのメッシュ数は、これらの領域についてのみである。また、AWG シミュレーションについては、第2カップラ領域のフィールドのみ有効である。 |
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MxN AWGの一般的な例を、以下の図に示す。これは、M-入力ポートおよびN-出力ポートデバイスであり、5つの領域:入力ポート(Input
ports),入力カップラポート(Input coupler port),アレイ導波路ポート(Array Waveguide
port),出力カップラポート(Output coupler port)および出力ポート(Output
ports)に分割できる。AWGの中心構造は、波長分散をもつグレーティング構造を有するように設計された、主要な領域である。AWGからの光波を送ったり受けたりするために、多数の入力ポートと出力ポートがAWGの両側に配置されている。ここで、MとNはそれぞれ、入力ポートと出力ポートの数
である。 |
![]() テンプレート |
![]() 図 MxN AWG |
スターカップラは、AWG 構造の主要な部分である。あらかじめ定義されているスターカップラを利用して、より精度の高いAWGの解析を得ることができる。 AWG は、アレイ形状により分類される。AWG 形状には、主に2つのタイプ:直線・弧・直線(SAS)形および弧・直線・弧(ASA)形がある。また、AWG は、ポート内にテーパ領域を有する。線形,正弦,余弦,放物線,および任意のユーザが定義する関数を、形状およびポート領域において利用することができる。 これらの分類に基づいて、APSS では、4つのタイプのあらかじめ定義されているAWG がある。
SAS 形とASA 形の違いは、アレイ導波路形状の違いのみである。 |
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APSS は、AWG に関する2つのシミュレーション法:解析的方法と数値的方法を用意している。 解析的方法は、AWG の性能を見積もるには、迅速な手段である。この方法では、全ての線路,入力/出力ポートおよびアレイ線路は、位相シフトとみなされる。これらの線路では、結合および曲がり損失を考慮しない。次に、高速フーリエ変換(fast Fourier transform:FFT)を用い、スターカップラ領域では、ガウスビーム伝搬法(Gaussian beam propagation method)を適用される。スターカップラ領域では、中心波長でのみ計算をし、波長範囲全体に利用する。AWG全体の性能を計算するには、各ブロックの変換行列を利用して、異なる領域の結果(変換行列)をまとめる。 数値的方法は、精度の高い解析方法であるが、時間がかかる。この方法では、全ての線路,入力/出力ポートおよびアレイ線路について円筒型(cylindrical)BPMが用いられる。全ての線路において、曲がり損失を考慮し、次に、スターカップラ部を解析するのに、BPMを用いる。また、線路間の結合も、BPMを利用して考慮する。 |
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![]() 1×16 AWGのレイアウト(テンプレートに実寸を入れた状態) |
![]() 出力側スターカップラ(Output coupler)でのBPM計算結果 |
ここでは波長によって焦点を結ぶ導波路の位置が異なるため、下図の波長選択特性が得られる。 |
![]() 出力側各16チャンネルに対応した波長選択特性 |