姚兵、大薗和正、黒沢芳宣、立蔵正男、「ホーリーファイバの実用化に関する一検討」信学技報、OPE2002-123, pp. 47-50, 2003年1月23日

分散特性など

表1.実験結果と計算結果の比較

文献で報告されている実験結果に対応させて計算結果(@1550nm)を表1に示す。
MDF(モードフィールド径)はホールで圧迫されていて径が小さくなる軸とホールとホールの間で径が大きくなる軸があるので計算ではそれぞれを評価した。実効断面積は実験報告値がないが、あるものは計算結果と実験結果は良い一致をしている。



フィールド分布

上記分散特性を求めた3種類の計算モデルでのフィールド分布(@1550nm)を図1〜3に記す。


曲げ損失特性の空孔径依存性

文献では、以下の実験結果が記されている。

図4.文献より引用した曲げ損失特性の空孔径依存性

空孔が大きくなるとコアのパワーが閉じ込められ易くなるために曲げに強くなると考えられる。ロスが極めて小さい領域のシミュレーション評価は精度の観点から難しいので、ここでは曲げ径4mmでの計算結果を図5に記す。

図5.曲げ損失特性の空孔径依存性(Fiber Designerの結果)

図5での計算点の空孔径でのフィールド分布を図6〜10に記す。解析では(0,0)より左側が曲げの内側でありこれらの図からフィールドは外側に漏れていることがわかる。







曲げ特性の曲げ径依存性

文献では、以下の実験結果が記されている。

図11.文献より引用した曲げ損失特性の曲げ径依存性

Fiber DesignerをNoah-1及びNoah-2に適用して、図11に対応する図12の結果を得た。


図12.曲げ損失特性の曲げ径依存性(Fiber Designerの結果)

空孔数が多いほどコアへの光閉じ込めが強くなり、曲げに対して有効であることが容易に理解でき、定性的には図12は図11と同じ傾向であることがわかる。
Noah-1の曲げ径4mmとNoah-2の曲げ径1.2mmでのフィールド分布を図13及び図14に記す。




これらの解析を通して、ホール数は有限個であるためにフィールド分布は円筒座標系では扱うことができない形状であることがわかる。このことは、曲げ特性に関してもホールの方向やホールとホールの中間方向では厳密に異なるのでワーストケースで評価しなければならない。

Fiber Designerはこのように実験結果を説明するだけでなく、その内部でのフィールド分布などについても情報が得られ、技術者が深く考察するツールとして有効である。