広角BPM

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APSSのBPM解析は広角(wide angle) BPMである。取り扱うことができる広角はPade近似と呼ばれる漸化式の次数に対応する。漸化式の次数が高ければ近軸からのずれが大きな領域(広角)の取り扱いが可能となる。一方、漸化式の次数が上がるので計算時間を要することになる。より詳細な理解をしたいユーザは次の論文を参考にされたい。
G. R. Hadley, “Wide-angle beam propagation using Pade approximant operators,” Optics Letters, vol. 17, no. 20, pp. 1426-1428, Oct. 15, 1992.

図1〜5はポイントソースを(0,5μm)に置いたときのフィールド分布のPade近似次数依存性である。



図1.0次


図2.1次


図3.2次


図4.3次


図5.5次


上記のように4次から5次で十分な広角への伝搬となることがわかる。

Pade近似次数の設定方法をA-D1の例で説明する。
図6のデバイス解析設定画面で、”Solver Selection”タブ(青丸)に切り替える。図7の画面となる。




図6.デバイス解析設定画面



図7.解法設定画面


図7では”Advanced Setting”(赤丸)を選択する。



図8.BPMソルバーのパラメータ設定画面

図8はBPM解析のときのパラメータ設定画面である。
ここで、Wide Angle Pade Orderがパデ近似次数である。上記の例では4(赤四角)が設定されている。

APSSでは2次元と変わりなく3次元のBPMでも高次のPade近似次数を設定することができる。他社のソフトでも広角BPMをサポートしている記述があるが、2次元に限られていたり、3次元では1次までのサポートしかないものもある。広角での計算が正しく行なわれないときには、Y分岐の角度を広げた場合には損失が増えるので、分岐で出力ポート間の距離を稼ぐには、広がりを抑えてデバイス長が長くなる。放射損の観点からは安全サイドの設計になるが、寸法が長くなるなどコストや仕様面からは不利な設計となる。そのためにも、性能を正しくシミュレーションできるツールで設計しなければならない。